※クリスマス中止のお知らせ※
Thanks! 原曲様【s.m1.22.160.9】 オケ音源【s.m13.052.49.3】
「メリークリスマース!」
「………どうぞ。」
めちゃくちゃいやな顔をされながら、鬼男君がオレに手を差し出した。
まさか本当に貰えるとは思っていなかったから、吃驚する。
持つべきものは優秀な秘書!
感涙の涙を堪えながら、オレは自分の手元にある重たいそれを抱きしめた。
ずっしり。びっしり。
「……わー、いっぱいお絵かきできるねー。」
「馬鹿言わないで下さいよ。昼休み明けの死者リストです。」
「…プレゼントは?」
「寝言は寝て言え。寝るな。」
「うう……メリークルシミマース…。」
机に伏した大王は、恐らく先程とは180度違った意味で泣いている。
ちら、と見遣った先のカレンダーには大きく赤で、花丸。
ため息をつきたくなるのを我慢して、僕は今までの分のリストを見直した。
――大体、クリスマスってどこかの神の誕生日だろ。直接祝え直接。
目の前には、よく忘れそうになるけど神様、の、上司がいる。
子供のように足をバタつかせて、そのせいで渡した書類が崩れそうだ。
「ほら、そろそろ仕事再開しますよ。」
「…鬼男君のおに!」
「鬼ですけど?」
***
下の暦で24日、もうすぐ聖なる夜だ。
ぶーぶー言いながらも、大王は今日の分のノルマを終えた。
「……お疲れ様でした。」
結局そのまま机で寝てしまった草臥れた背中に、赤と緑の毛布をかける。
全く、あんなにはしゃいで。
用意していた小さなホールケーキは、蝋燭が灯らないまま冷蔵庫にある。
当人は、こうしてここで寝てしまっているから、出番は明日になりそうだな。
「…メリークリスマス、大王。」
小突いた鼻先が震えて、幸せそうな寝顔。
―――Have a nice Christmas!